早期退職制度を利用した転職活動の注意点

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早期退職制度と転職

早期退職制度、または希望退職制度と呼ばれるリストラ策を講じる企業のニュースを見ると、なんだかドキっとしてしまいますね。

比較的記憶に新しいところでは、シャープや東芝といった大企業の早期退職制度導入が世間を動揺させました。

「もし自分が働き盛りのうちに、会社が経営不振に陥ったら、、」
こんな不安を抱えている方は少なくないのではないでしょうか。

早期退職は他人事とは思えないし、いざという時にどうしたら良いか知っておきたいな。
・そもそも早期退職制度とはどのような制度なのか
・早期退職制度を利用して退職した場合、どのような転職活動を行うのか
 
今回はこの2点について働く側の目線でお話ししましょう。

ソフトなリストラと呼ばれる早期退職制度

早期退職制度は業績不振に陥った企業が導入する制度だと思われていますが、業績堅調な企業においても若手社員への世代交代を目的に導入する企業も増えつつあります。

業績が好調だからといって自分には縁が無い話だと思っていると、痛い目を見るかもしれないんですね

リストラという言葉はみなさん耳にしたことがありますよね。

元々はRestructuring(リストラクチャリング)、組織の再構築を意味する言葉だったのですが、いつの間にか会社都合による事業や人員の削減を意味するようになりました。

つまり今日ではリストラは企業側の都合による人員削減の手段として従業員を解雇する行為を一般的には指しています。

企業によっては、自己都合退職へ追い込むという倫理的によろしくないやり方を取り入れているところもあるようです。

早期退職制度はあくまでも従業員が自主的に制度に応募するものなので、先に述べたリストラよりも、イメージ的には前向きであり、従業員にとってもメリットが大きいと言えます。

リストラ(会社都合)、リストラ(自己都合)、早期退職制度、それぞれの違いがわかりやすいように表にしてみました。
こちらをご覧ください。
早期退職制度

会社の規定によって細かな違いはあると思いますが、それぞれの制度にはこのような特徴があります。

いずれの場合も会社の業績不振を前提としているため、会社の将来性や昇給・賞与などの待遇には明るい展望を抱けない状況です。

従って、多少なりとも割り増し退職金が支給される早期退職制度を利用して、新たなスタートを切ろうと考える人は意外と多いのです。

2015年に粉飾決算に伴う業績不振により早期退職制度を導入した東芝でも、計画を上回る数の応募があったと言われています。
 
従業員の立場で考えれば、早々に見切りを付けて少しでも若いうちに再スタートを切った方が、後の人生設計にメリットがあるという判断になるのだと思います。

早期退職制度を利用するか否か、判断の分かれ目とは

早期退職制度の一番のメリットは「早めに人生の再スタートが切れることと、割り増し退職金の存在」です。

2015年の東芝のケースでは、勤続25年前後の50歳手前の役職者の場合、早期退職制度を利用すると4000万円台後半から5000万円程度の退職金を手にする計算になるそうです。

中小企業では定年退職金でも手にすることのできない額です。

ではもしあなたの勤める企業が早期退職制度を導入し、あなたが応募資格に該当していたらどうするか、を考えてみましょう。
これはつまり今後の人生設計を見直すことにもつながります。

生活資金をまかなえるか?

生活費
制度利用の判断の分かれ目、まず一つ目は、ずばり今後の生活資金。

特に大企業勤務であった場合、再就職してもこれまでと同等の年収が得られる勤務先はほぼ無いと考えて間違いありません。(詳細は後述します)

ごく一部のエリートを除いて、大半のケースでは、再就職後はこれまでより3割以上年収が減額されることを覚悟したほうが良いです。
その金額を前提として、生活資金がまかなえるかを考えてみましょう。

もちろん割り増しされた退職金で住宅ローンの残債を精算したり、生活費に充当したりすることが可能なので、70歳になる頃までの毎月の生活費をシミュレーションすると良いと思います。

ワーク・ライフ・バランス

もう一つ、制度利用の判断の分かれ目となるのが、ワーク・ライフ・バランスです。

おそらくこれまで会社のためあるいは家族のために、がむしゃらに働いてきた人が多いと思います。
今後は海外や国内の地方等へ移住し、スローライフを実現してみるというのもアリですね。

最低限の仕事をしながら、趣味やボランティアで自己実現を図る生き方を実践してみるのも素敵です。

生活費のシミュレーションやスローライフのイメージに問題がなければ、早期退職制度の利用を検討してみるのも良いと思います。

多額の負債を抱えている人や家族に反対されている人、あるいはその会社への所属こそが自身のアイデンティティになっている方などは、早期退職制度の利用は慎重に判断したほうが良いと言えます。

早期退職者が陥りがちな転職の失敗とは

早期退職制度を活用して大企業を退職した方が、その後の転職活動に失敗してしまうケースが実は少なくありません。

失敗の原因の多くは転職する人の意識にあると見ています。

転職の失敗はぜひとも避けたいものですよね。
早期退職制度を利用した人が陥りがちな転職の失敗例をご紹介します。

ケース1:プライドが邪魔するタイプ

誰もが知っている有名企業で長年営業職として勤務してきたAさん。
彼には「会社の実力=自分の実力」という思い込みがありました。

「有名企業にいた自分は引く手あまたの優秀な人材だ」と信じて、転職活動を開始。

それが災いして、採用面接ではつい前職の会社自慢ばかりしてしまい、自身のキャリアのアピールを効果的に行うことができずにいました。

不採用が続き、何とか入社した同業種の中小企業でも、「前職ではこうだった」と自分のやり方を曲げずに衝突することが多く、本人も周囲もフラストレーションを抱えているという状況です。

ケース2:給与・待遇にこだわるケース

大企業で当たり前のように得ていた好待遇が、転職の際にネックとなることがあります。

Bさんは経理一筋でキャリアを積んできましたが、40歳で早期退職制度を利用して大企業を退職しました。

退職前は課長職で年収750万円を得ていたBさんは、前職と同額の収入を希望して転職活動を開始。

しかしBさんの希望条件に合致する求人はほとんどないことに加えて、ライバルも多く面接に進むこともままなりません。

結果として転職活動の思わぬ長期化を招いてしまいました。

Bさんはその後、前職の給与よりも平均して3割以上は減額することを覚悟し、年収500万円前後を希望条件に設定して転職活動にのぞんだところ、速やかに次の職を見つけることができました。

ケース3:余裕がアダとなるケース

余裕がアダとなるケース

早期退職制度の利用者は前述の通り、多額の割増退職金を手にします。

約3,000万円の退職金を手にしたCさんは、一時的とはいえまるで宝くじにでも当選したかのような気分になりました。

気持ちが大きくなったCさんは住宅ローンを一括返済。
今後はローン返済に追われないという現実に甘えが生じ、働く意欲が減退してしまったのです。

転職活動に本腰が入らないままダラダラ過ごしてしまい、失業給付金が支給期限を迎える頃にようやくやる気に。
しかし既に退職から1年程度のブランクが生じており、これが原因で転職に苦戦することとなりました。

これは身につまされるなぁ・・・。油断大敵ですね!

ケース4:認識が甘かったケース

日本においてはおよそ35歳を境に、転職時に求められるキャリアのレベルが高くなるため、転職のハードルが上がる傾向にあります。

中高年の転職ではその事情を知った上で活動することが求められますが、40代のDさんは転職初心者だったため認識が甘かったのです。

転職市場での自身の市場価値を正しく把握できていなかったDさんは、4カ月ほど結果を出せずにいました。

行き詰まりを感じたDさんは、転職エージェントに登録することを決意。
キャリアアドバイザーの助けを得て、Dさんはこれまでのキャリアを洗い出して強みを明らかにし、適切な求人を選択して活動を再開しました。

中小企業出身者の早期退職者は上記4つのような失敗に陥るケースはごく稀です。
現実の厳しさを身をもって理解しているからかもしれませんね。

早期退職制度を利用して転職に成功した事例

転職成功事例
大企業出身者でも早期退職制度を上手に活用して華麗なる第2の人生を送っている人がいるのも事実です。

Eさんは2010年に大手繊維会社を早期退職制度を利用して退職し、現在は地元の企業で取締役として活躍されています。

退職時の年収も退職金もかなり良い条件であり、転職直後の年収は前職の半分程度であったそうです。

しかし現在では既に当時の年収を上回り、会社を支える重要な役割を担っています。

Eさんいわく、やはり最初は待遇面の落差などから転職活動に戸惑いを感じたそうですが、「名もなき会社を大きく成長させる」ことに意義を見出し入社を決意したそうです。

生活に困らない程度の一時的な収入減であればそれは一度脇へ置いて、これまでのキャリアをどのように活かせるかということだけをまずは真剣に考えることが成功の基になったケースです。

あなたの職業上のアイデンティティは何か考える

仕事と関係の無い初対面の人に「お仕事は何をされているのですか?」と聞かれたらあなたは何と答えますか?

「○○という会社に勤めています」と答える人は「会社で職業人生が決まる人」、
「△△という仕事をしています」と会社名を言わずに説明する人は「自分で職業人生をデザインする人」と言えます。

どちらが良い悪いということではありませんが、次のように考えることができます。

  • 前者は、早期退職制度を利用しない方が幸せを感じやすい。
  • 後者は、早期退職制度を利用しても次の人生が輝く要素がある。

前者は会社名を挙げることで相手を信頼させることが習慣になっていたり、その会社に所属していることが自身のアイデンティティになっている可能性が高いので、退職がマイナスに働くことが考えられるためです。

早期退職制度を利用して転職活動を行う際、注意しなければならないのは本記事で説明した待遇面などのデメリットを受け入れる意識があるか無いか、そして自身の職業観とマッチするかです。

これらに十分注意して、早期退職制度の利用について判断していただければと思います。

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