ワーク・ライフ・バランス実現に向けた企業の取り組み

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ワーク・ライフ・バランス

2016年~2017年にかけて、大手広告代理店の20代社員の過労自殺や、大手総合電機メーカーの違法な長時間労働のニュースが社会の注目を集めました。

働きやすさというものは、企業の規模やブランド力に必ずしも比例しないということを改めて実感させられる出来事でした。

その一方で、「ワーク・ライフ・バランス」の向上に本腰を入れて取り組む企業も多くなってきています。

少子高齢化による深刻な人材不足が進む中、より多くの優れた人材を集めて定着させるためには、ワーク・ライフ・バランスの向上を図ることが有効だと社会の理解が進んできたためです。

転職を希望する僕たちは仕事内容や報酬だけでなく、企業の働きやすさについてもよく知ることが必要ですね!

特に女性は結婚や出産育児で仕事をする環境に影響を受けやすいから、働きやすさは軽視できないわ。
そうですね。
転職先を検討する材料のひとつとして、ぜひ企業のワーク・ライフ・バランスへの取り組みについて注目してみてください。
 
今回は働きやすさの追求を図っている企業の取り組みをピックアップし、これからの企業のあり方を探ってみようと思います。

ワーク・ライフ・バランスとは?

ワークライフバランスとは
仕事と生活の調和を意味する言葉です。
日本政府は2007年に政府が次の2点を策定し、制度的枠組みの構築や環境整備の促進・支援策に取り組んでいます。

  • 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章
  • 仕事と生活の調和推進のための行動指針

この憲章で「仕事と生活の調和が実現した社会」を次のように定義しています。

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」

ワーク・ライフ・バランス促進により具体的には次のような社会を目指すものと示されています。

  1. 就労による経済的自立が可能な社会
  2. 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
  3. 多様な働き方・生き方が選択できる社会

(※当項目の内容は内閣府ホームページより引用しました)

正社員を対象とする週休3日制の導入

週休3日制度
日本では労働基準法により週40時間までの労働が認められています。

そのため多くの企業で1日8時間×平日5日=週40時間勤務(週休2日制)と規定しています。

販売業や接客業など土日出勤がある企業でも、8時間×5日というシフトで勤務している企業が多いと思います。

これまでにも一部の非正規労働者や短時間勤務社員限定で、週休3日制を取り入れている企業はありましたが、近年では正社員を対象として週休3日制を規定する企業も増えてきました。

正社員を対象とする週休3日制は、週40時間勤務をベースとして、10時間×4日と労働時間を定めることで週休3日を実現するものです。

総労働時間が変わらないため給与も変わりませんが、休みが増える分、従業員のストレス軽減効果や、働きやすさが増大する効果が見込まれます。

週休3日制なら、育児や介護にあてられることはもちろん、資格取得のための勉強にあてたり、色々な活用方法が考えられるね!

店舗勤務1万人に週休3日制を導入したファーストリテイリング

導入事例としては「ユニクロ」を展開する株式会社ファーストリテイリングが有名です。
働き方の改善はもとより、採用にも好影響を与えており社会への影響力も大きいと言えます。

ファーストリテイリング社で週休3日制の対象となっているのは転勤の無い「地域正社員」約1万人。
もともと店舗勤務で1日あたりの勤務時間が10時間前後であるため、週休3日制が馴染みやすい側面もあったと考えられます。

職種に関わらない週休3日制を検討して注目を集めているのがYahoo(ヤフー)株式会社です。
数年のうちに、全社員5,000名以上を対象に週休3日制の導入を目指しています(2017年現在)。

満員電車から解放!リモートワークという働き方

「正社員であっても出社義務なし。」
そんな画期的な制度が「リモートワーク」と呼ばれています。(テレワーク、リモートオフィスと呼ばれることもあります。)

社外からモバイルデータ通信や、公衆無線LANなどを利用して社内ネットワークに接続して仕事を行うスタイルで、
適用が可能な職種や業種に限りはありますが、今後確実に増えていく働き方とみられています。

キヤノンITソリューションズ株式会社は、カメラ映像から勤務状況を自動検出するクラウド型テレワーク支援サービス“テレワークサポーター”を2017年2月より提供開始することを発表しています。
 
このような動きからも、リモートワークへの潜在的ニーズは非常に高いことがうかがえますね。

リクルートHD、リモートワークを全従業員対象に本格導入

リモートワーク、リモートオフィス

これまでも一部の社員を対象としてSOHOと言われるような働き方を推奨するケースはありました。
しかしあくまでも試験的な導入がほとんどで、労務管理の面からいつの間にか廃れていく傾向にありました。

そんな中、株式会社リクルートホールディングスは雇用形態に関わらず、全ての従業員に対してリモートワークを本格導入しました。

会社以外の場所で勤務できるリモートワークはオフィスへの出社義務が無く、自宅やコ・ワーキングスペース、あるいは近所のカフェなど、任意の場所での勤務が可能です。

リモートワークに必要なモバイル機器や通信手段などは会社から支給され、勤務時間ではなく成果で評価する人事制度を適用するとのことです。

ワーク・ライフ・バランスの向上や、採用へのプラス効果はもちろんのこと、オフィス賃料の削減効果も見込まれるため企業も従業員もwin-winな制度と言えますね。

日本企業の多くは、未だに労働時間=給料という考え方が支配的で、毎日定時に出社し残業して働くことが美徳という風潮が根強いのも事実です。中には長時間労働=会社に貢献していると評価される企業もあります。

しかし核家族世帯が増えて育児や介護の個人負担が重たくなっている現在では、リモートワークはワーク・ライフ・バランスの向上に大きく寄与するものと見られています。

労働への固定概念を根本から覆すこの取り組み、この先どのように進展していくのか見物ですね。

中小企業でも増えている取り組み

ここまで紹介した「週休3日制」や「リモートワーク」は、大企業による先進的な取り組みであるため、広く一般的になるまでにはしばらく時間がかかるものと思われます。

しかしワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業は必ずしも大手企業かと言えばそうではなく、積極的に取り組んでいる中小企業も実は少なくありません。

内閣府のホームページにも紹介されている導入事例をいくつかご紹介しましょう。

出産後でも安心して働ける職場作り

産後の女性でも働ける

企 業 名:有限会社シーエスピー(所在地:和歌山県岩出市)
事業内容:繊維製品の企画製造販売
社 員 数:30名

こちらの企業はオリジナルの授乳服などマタニティ関連製品をインターネットで販売しており、社内では育児経験のある女性が活躍しています。

経営者の千畑さんは、事業所内に授乳ができるスペースを設けたり、ベビーベッドを設置するなど、なんと乳幼児を連れていても出勤ができる環境を整えたというのですから驚きです。

その他にも、

  • 保育園などへ送迎後にも出勤しやすいよう始業時間を9時半に設定
  • パートから正社員に昇格できる段階別評価制度
  • 未就学児のいる正社員対象に1時間の時短勤務制度
  • 時間単位での有給取得

など雇用環境を整備し、現在は男性社員への育児休暇取得なども後押ししているということです。

平成20年、こうした仕事と育児の両立を図る実践が認められ、厚生労働省の「くるみんマーク」を取得されています。
↓くるみんマーク↓
くるみんマーク

くるみんマークとは、厚生労働大臣から子育てサポート企業として認定を受けた証です。
 
次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は申請を行うことで認定を受けることができるのです。

育児・介護にとどまらない様々な施策

様々な施策
企 業 名:株式会社 長岡塗装店(所在地:島根県松江市)
企業内容:塗装工事業、防水工事業、建設工事業、アスベスト除去工事
社 員 数:25名

ワーク・ライフ・バランスというと育児・介護にフォーカスされた施策が目立ちますが、こちらの企業では様々な年齢・立場の従業員の仕事と生活の充実を支援したいという思いから複数の制度導入に至っています。

実際に効果を上げている取り組みを列挙します。

  • 子の看護休暇(高校を卒業するまでの子1人につき年5日有休・30分単位で取得可)
  • 本人・妻の出産祝金 10万円支給
  • 保育料の3分の1を補助
  • 育児のための始業・終業の繰り上げ、繰り下げ
  • 1時間までの育児短時間勤務制度(30分単位)
  • 家族の介護サービス利用費用の3分の1を助成
  • 家族の介護のための始業・終業の繰り上げ、繰り下げ
  • 子育て中・妊婦のための休憩室整備とマッサージチェア・空気清浄機などの備品の購入
  • 事務職員11人各人1台パソコンを配置、仕事(データ)の共有化
  • 週平均労働時間を39時間に設定(H17~ 1年単位の変形労働時間制の導入により)
  • 年次有給休暇の計画的取得の奨励(年休取得計画表を各従業員に配布)
  • 年次有給休暇を1時間単位で取れることとする(各従業員のニーズを重視する)
  • 休日出勤・深夜残業等の疲労蓄積をチェックし、代休・振替休日を取得するよう指導
  • 男女従業員ともに各種研修セミナー・講演会への参加奨励
  • 男性の育児休暇取得の奨励(社内報作成)
  • 子が親の働くところを見ることのできる子ども参観日の実施

(※株式会社 長岡塗装店のホームページより引用しました)

こんなにたくさんの施策があるなんて驚きです。
様々な立場の従業員のことを思いやる経営者の想いが伝わってきますね!

働きやすい会社を選んで転職しよう

働きやすい職場
30年前は週休2日制ですら珍しかった時代でしたが、今では週休2日制が「当たり前」。
社会の変化に合わせて働き方が変わっていくことは、とても自然なことです。

数年後、数十年後にどのような働き方が「当たり前」になっているか、今後の各企業の動きに注目ですね。

これから転職を考えている方は、ワーク・ライフ・バランスに関する企業の取り組みもぜひ調べてみてください。
あなたのライフスタイルや価値観にマッチする企業がきっと見つかるはずですよ。

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